2階はイートインスペースで25席を設置。木目と白を基調にしたナチュラルな雰囲気。
朝は朝食向けのサンドイッチや焼き菓子を中心に販売。フォカッチャ(¥150)、レモンタルト(¥420)、ブルーベリーのタルト(¥420)
場所はキャッスルストリートの入り口にできたテナントビルの1階と2階。地下にはライブハウス「simple voice」が入居。
近隣の美容師やアパレル店員、親子連れ、50代、60代などの年配客など幅広く来店しているそう。
1階は食肉加工品や総菜、焼菓子を販売するデリ、2階はカフェスペースという構成。1階で購入した商品のイートイン利用のほか、プレートメニューも販売する。1階でオーダーと会計をし、カウンターから料理を受け取ってお客さん自ら2階の座席に運ぶシステム。食後の食器も、返却コーナーにセルフサービスで片付ける。
デリは朝9時のオープンと同時に、朝食向けのサンドイッチや焼き菓子を提供。サンドイッチは自家製サーモンのマリネサンド(650円)など2種類、焼菓子はスコーン(230円)やタルト(420円)など豊富で、ズッキーニとトマト、飴色玉葱のキッシュ(680円)など3種のキッシュもショーケースに並ぶ。また、レストランOGINOの看板メニュー、自家製のパテ・ド・カンパーニュ(約100g・630円)やイベリコ豚のコンフィ(690円)もテイクアウト販売する。
カフェでは、4種類のプレートメニューを11時から閉店の19時まで通して提供。ランチメニューとディナーメニューの切り替えはしていない。一番人気は「パテデリプレート」(1,260円)で、パテドカンパーニュ、おまかせデリ2品、ドリンクがセットで、白米または玄米、フォカッチャのうち1つが選べる。ほかに、カレープレートや鴨のコンフィのプレートなど。
出店場所としては青山や恵比寿も候補地だったが、平日も地元の人が暮らしていて、土日はわざわざ遠くから足を運ぶ人がいる、そんな街の特徴に魅力を感じて代官山を選んだ。食への意識が高い人が多いという点も、決め手になったそうだ。
平日は地元の女性客や遅いランチ利用の近隣の会社員が多く、平均滞在時間は約30分。休日は家族連れや若いカップルが中心で、平均滞在時間は約1時間。
「予想以上に男性のお客さまが多く、平日のランチタイムにはスーツ姿の男性が1人で食事をしていかれますね。男性がパッと入ってサッと出て行ける、そういう店として選んでくださっているのには驚きました」と夏さん。伸也さんが理想とした店舗形態は、同じ男性の多くが抱えていた潜在的ニーズに応えた形なのかもしれない。
「たとえば、野菜は無農薬や低農薬など、できるだけオーガニックのものを選んでいます。だからといって、決してオーガニックにこだわりのある方だけをターゲットにしているわけではなく、あくまでも忙しい人がさっと利用できるカフェでありたい。店側がお客さんを絞るのではなく、お客さんの使い方次第で店を選んでもらう。そうすることで裾野が広がると考えています」
素材・調理にこだわったメニューをカジュアルなデイリーユースの形で提案する同店は、ハレの場だけを特別に飾るのではなく、毎日の生活にこそこだわって日常をバージョンアップしたいという、昨今の消費者心理の変化にマッチしていると言えるだろう。そして、同店の背景にある食のリサイクルプロジェクト=社会貢献活動も、消費者のモチベーション喚起に結びついているポイントになっていると言えそうだ。
取材:皆川夕美(フリーライター)