牧場から毎朝直送される牛乳を使って店内の工房で手作りしたフレッシュチーズを提供するカフェ「SHIBUYA CHEESE STAND(シブヤチーズスタンド)」が、東京・渋谷区の神山町にある。オープンは2012年6月4日。場所はNHK放送センターの西門の向かい。渋谷の真ん中で出来たてのチーズを食べられる、新しい業態の同店を取材した。
運営元は(株)nobilu(ノビル)。代表取締役はチーズ職人の藤川真至さん(31歳)だ。大学でイタリア語を専攻していた藤川さんは、学生だった約10年前にバックパッカーとしてイタリアに渡り、ナポリでピザ職人の修業をしたり、北イタリアのチーズ工房でチーズ作りを学んだ。そういった経験を通して「いつか店を持ちたい」という思いが芽生え、卒業後はイタリアンレストランでピザ作りを経験するほか、赤坂のドーナツ店で経営に携わった後、独立を果たした。
コンセプトは「街に出来たてのチーズを」。チーズと言えばパーティーで食べるもの、ワインのおつまみというイメージが定着しており、ましてやフレッシュチーズは牧場にわざわざ出向かないと食べられないという非日常的なイメージが一般的だ。しかし同店ではチーズをもっと日常的なものにしたいと考えており「CHEESE STAND」という店名も、コーヒースタンドのように、ふらっと立ち寄れる場所にしたいという思いがあるからだ。
「ナポリの街にはチーズ店が軒を連ねているんですが、そこで出合ったのがフレッシュチーズ。その濃厚なおいしさに感動し、出来たてのチーズをたくさんの方に届けられる店を作ろうと思いました。また、日本では牛乳の消費量は減っていますが、ピザの浸透などの影響からチーズの消費量は増えています。そういった背景からも、チーズなら新しいことができるのではないかと考えました」(株nobilu 代表取締役/藤川真至さん)
東京都八王子市の牧場「磯沼ミルクファーム」から毎朝直送される牛乳を使用。ジャージーやホルスタイン、ブラウンスイスという3種の乳牛のミルクが混合された濃厚な牛乳がチーズの味を深めるそうだ。藤川さんが毎日手作りするチーズは「出来たてモッツァレラ」(550円/100g)、「出来たてリコッタ」(470円/100g)。チーズの販売のほか、チーズを使ったメニューも提供。東新宿のパン屋「峰屋」の天然酵母ライ麦パンを使ったサンドイッチは4種類あり、フレッシュモッツァレラとバジル・トマト・ルッコラを挟んだ「カプレーゼ」(480円)が特に人気。プレート料理の「当日出来たてのモッツァレラとリコッタの盛り合わせ」(580円)も売れ筋という。また、7月半ばからはピザもスタートした。野菜の大半は生産者から直接仕入れているという素材へのこだわりも特徴だ。