渋谷西村フルーツ

渋谷西村フルーツ

レポート
2004.01.09
フード|FOOD

“フルーツカウンター”の
商品はすべてイートイン可能。
イタリア製のショーケースを
採用したジェラートコーナー。
同店の裏手・センター街側は、
シルバーアクセサリーや革小物
など小売6店舗からなる雑貨コー
ナー「シブヤ・エンゼルハート」。
渋谷駅ハチ公口交差点のほど近くにある果物専門店「渋谷西村フルーツ」が、03年10月27日、リニューアルオープンした。

創業1910年の同店は万惣や千疋屋總本店、新宿高野などと並ぶ老舗。当初は文京区小石川に本店を構えていたが「これからは渋谷に人が集まるようになる」という創業者の一言で、1935年現在の場所へ出店した。以後、小売業に留まらず、フルーツデザート専門の喫茶である“フルーツパーラー”を設けるなど徐々に事業を拡大。随時改装なども行ってきたが、今回のような大掛かりなリニューアルは10年ぶりだという。

「リニューアルは若者の果物ばなれを意識してのことです。まずは毎日店の前を通る何万人もの若者たちに来店してもらおうと新たに“フルーツカウンター”を設置。これまでの敷居が高いというイメージを払拭し、ファストフードのように気軽に入店できるカジュアルな雰囲気を意識しました」というのは、同店の運営元である(株)渋谷西村總本店の3代目、専務取締役の西村元孝さん。

入口を入ってすぐの右側に設置された“フルーツカウンター”は、モスグリーンを基調としたモザイクタイルとステンレスのモダンなデザインで、従来のジューススタンドのイメージとは異なり、明るくポップな印象を受ける。メインとなるメニューは、フルーツジュースやカットフルーツ、ジェラートだが、フルーツティやフルーツ入りホットワインなど、旬のフルーツを使用したスペシャルなものも順次追加していくそうだ。

「日本では果物を嗜好品と捉えがちですが、野菜と同様、健康のために毎日摂取するべき必需品と認識されるようになって欲しいですね」(西村さん)。

実は、03年6月に農林水産省が発表した『果実の需給〜その動向と見通し〜』によると、若年層によるフルーツジュースやジェラートなど加工品の消費は増加傾向にあるという。確かに、渋谷に限ってみても、東横店東急フードショーの「ハヤシフルーツ」のジュースバーや「パリヤ」のフルーツジェラートコーナーなどは、連日20〜30代の女性で賑わっている。昨今の機能性食品ブームを考えると、ビタミン類や食物繊維などの栄養分を手軽に効率よく摂取できる“フルーツカウンター”は、シアトル系カフェや、紅茶・中国茶・日本茶などお茶カフェに続く、「ネオファストフード」の新業態ともいえそうだ。

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