創業200年のくず餅の老舗「船橋屋」が、05年2月22日渋谷・広尾に初の飲食店、「船橋屋こよみ」をオープンした。1階はくず餅をはじめ、和のスイーツのお持ち帰りコーナー、2階は「和バール」というスタイルで、フェアトレードによるコーヒーや紅茶、アルコール類はもちろんのこと、昼夜ともにきちんとした食事もできる「和カフェ」である。
「200年同じことをしていても前に進めない、と次期8代目が発案した新規事業なんです」と言うのは店長の鳥山さん。和のスイーツとデリカテッセンを融合させたというアイデアは次期8代目によるものだが、レストラン「AFRICA」やインドネシア料理「銀座LIME」等、飲食総合プロデュースカンパニーの(株)オペレーションファクトリーが総合プロデュースを担当した。
ロゴのモチーフには、アーティスト、細谷由依子氏の線画を起用し、スイーツを含めたフード全般は、料理研究家の川淵智子氏がプロデュース。2階の和バールは、亀戸天神前本店で長年保管していたアンティークの椅子やテーブルを配置したレトロモダンな空間となっている。店名の「こよみ」は、太陽を巡る時の流れ、大地の恵み、天空の平穏をあらわしているのだそうだ。
「おいしいものは人間を幸せにする」という根元的な食の喜びを、懐かしくてほっとできる空間で美味しく味わってもらいたい、というのがコンセプトです」(鳥山さん)。
1〜2ヶ月ごとに新しく登場する「こよみ季節のスイーツ」もこだわりのひとつ。季節の旬な食材を伝統の味と融合した新しい感覚の和スイーツを次々に提案している。ここから生まれた新商品が、老舗「船橋屋」の店頭に並ぶこともあるそうだ。
「くず餅を1つ作るのに15ヶ月かかるんです。厳選した小麦澱粉を地下天然水で使って乳酸発酵させ、じっくり熟成させるんですが、15ヶ月かけて作ったくず餅も、風味をそこなう保存料を使用しないため、消費期限はわずか2日間なんですよ」(鳥山さん)。
6月30日には、渋谷・マークシティに「神楽坂saryo」の2号店がオープン。羊羹の老舗虎屋の「TORAYA CAFE」(六本木)や、京都の日本茶専門店が手がけた「京はしや」(青山)、漢方の老舗・日本堂によるその名も「漢方カフェ」(品川、青山、渋谷)など、「和カフェ」業界への新規参入や細分化が進むなか、元祖・和カフェともいえる「yusoshi」が公園通り・パルコ前交差点に移転。「kurage 和カフェ yusoshi」としてオープンした。同店では「和カフェ+アートの融合」として、若手アーティストの支援なども行うなど、数年続いたブームは確実に新たな段階へと進化しているといえそうだ。
取材・文/本田亜友子(フリーライター)+編集室
■船橋屋こよみ
東京都渋谷区広尾5-17-1
TEL:03-5449-2784
営業時間 月〜土 11:00〜22:00
日・祝 11:00〜18:00
http://www.funabashiya.co.jp/
船橋屋こよみ
レポート
2005.07.07
フード|FOOD
和のスイーツとデリカテッセンの融合
〜ブームを経て進化した「和カフェ」の誕生
関連リンク
-
http://www.funabashiya.co.jp/
船橋屋亀戸天神前本店
東京都江東区亀戸3-2-14
TEL:3681-2784
船橋屋こよみ広尾店
東京都渋谷区広尾5-17-1
TEL:03-5449-2784
同じカテゴリの記事