M's International Bar & Cafe

M's International Bar & Cafe

レポート
2005.11.07
フード|FOOD

時代が変わっても変わらない、
本格的なアメリカンハンバーガーショップ

150-200グラムのバンズは外国人サイズ!
もちろん、国産100%のビーフ使用。
赤坂時代からの友人、スティーブさんは、
毎週末バーテンとしても手伝っている。
宣伝は在日外国人メディアのみ。
渋谷センター街を抜けた繁華街の奥に、本場のアメリカ人も大満足というボリューム満点のハンバーガーショップ「M's International Bar & Cafe エムズインターナショナル)」がある。

オープンをしたのは03年11月。オーナーは外国人客も多く集まる赤坂のバーで7年間マネージャーをしていたという西牧衛さん。その前はホテルやレストランでコックを勤めたキャリア20余年のベテラン料理人だ。

同店をオープンするきっかけになったのは、赤坂のバー時代にスタッフに出していた「賄い料理」。場所柄、働いているスタッフは外国人が多く、西牧さんがつくったハンバーガーを絶賛。なかでも仲良しだったイギリス人スタッフが「店を出すんだったら手伝うよ」の一言で、一念発起。オープンに至ったのだそうだ。

「いろんな店で働いてきて、いつかは自分の店をやりたいとは思っていたのですが、なかなか決心がつかなくて。赤坂で働き始めて、始めは調理だけを担当していたんですが、マネージャーも兼任するようになり、店の運営や経理を勉強したのが、今とても役に立っています」(西牧さん)

渋谷に店を出す事に決めた理由は「外国人がくつろげる店が少ない」と感じたからだと言う。確かに昨今の渋谷は外国人観光客が多く訪れる街にもかかわらず、六本木や赤坂に比べると、格段にそういった店やスポットが少ない。

「たまに渋谷の外国人向けのバーに行くと、外国人が隅っこで飲んでるんですよ。彼等はお店のスタッフや廻りのお客さんたちとコミュニケーションが取りたくて来店していたりすると思うのですけどね」と言う西牧さんは、英会話も赤坂の店にいた時に覚えたのだそうだ。

同店一番人気のメニュー「エムズバーガー」(840円)は、国内産100%のビーフ約180〜200グラムを用いた肉厚でボリュームのあるパテが自慢。都内でもなかなかお目にかかれない、本格的なアメリカンハンバーガーだ。付け合わせのフライドポテトも大盛りで思わず嬉しくなる。これなら食べ盛りの学生も大満足。実際、ランチタイムは大学生や会社員の常連客が多く、夜は10名以上での貸し切りパーティも可能。大学生が合コンで利用する事もあるとか。

「外国人観光客や帰国してしまった元駐日外国人が、それぞれの母国でクチコミで広めてくれてるんですよ。日本へ行ったら、ココへ行けって感じで。逆に日本人のお客さんや常連の方は本当に親しい人にしか教えないみたいですね」と西牧さん。

店内は赤を基調としたアメリカンダイナーの雰囲気。ある1人の常連さんがお土産にとキースヘリングのトイを置いていったことから、他のお客さんが、次々とザ・シンプソンズをはじめディズニーやスパイダーマンなどのアメキャラのフィギュアを置いていくようになり、あっという間に店内いっぱいになってしまったのだそうだ。

独立の後押しをしてくれたイギリス人のスティーブさんは、現在も週何回か夜だけバーテンダーとして手伝っているが、ふだんは西巻さん1人で切り盛りしている。

「今後も今と変わらず、地道に一歩一歩、店を続けて行きたいですね。ブームが一気に来ると必ず終わる時が来るじゃないですか。時代が代わってもお客さんは変わらず来てくれる、そんな地味な店でいたいですね」(西牧さん)。

そんな西牧さんが最近渋谷の街について感じることは、「子ども」が増えているということだそうだ。

「メディアでは相変わらず大人の渋谷とか言ってますが、実際は若者が増えているように感じます」(西牧さん)。

マーケットに迎合することなく、マイペースな運営だからこそ街の変化に敏感でいられるのかもしれない。

〔取材・文:苫米地香織+『WEBアクロス』編集室〕

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