BLUE POINT(ブルーポイント)西原宿パークストリート店

BLUE POINT(ブルーポイント)西原宿パークストリート店

レポート
2007.08.14
フード|FOOD

「西原宿」エリアのランドマークとなるか。
白金の「BLUE POINT」が20年以上の時を経て
新店をオープン。

井の頭通りを挟み、すぐ向こうに
代々木公園の緑が広がるゆったりとした
空間。
ピッツァは、その日の天候や湿度により
生地の配合を調整して焼き上げられる。
何気なく飾られるサルバドール・ダリの
作品は、なんと本物!オーナーである
伊藤氏の所蔵品というから驚く。
飲食業界のスペシャリストとして手腕を
ふるうスーパーバイザーの“ブルーノ”こと
鈴木光広さん。
「ブルーポイント 西原宿パークストリート
店」は、バルビゾン55ビルの1階に入居。
同ビルの最上階には会員制ラウンジ
「ヘブンズビュー」をオープンした。
「西原宿」というまだ耳慣れないエリア名を店舗に冠し、イタリアン専門店「BLUE POINT(ブルーポイント)西原宿パークストリート店」が、4月13日にオープンした。読んで字のごとく、JR原宿駅から代々木公園を挟んだ西側を独自に「西原宿」と名付け、公園に沿って走る井ノ頭通りと渋谷区富ヶ谷周辺エリアのフラッグシップとなるレストランを目指す。「パークストリート」とは井の頭通りを指して命名した。

運営元は1986年6月設立の株式会社ブルーポイント。同社が港区白金で運営する多国籍料理店「BLUE POINT」は、「プラチナストリート」の名付け親として知られる有名店。白金を一躍人気エリアに押し上げた立役者だ。その本店オープンから20年以上の時を経た今、飲食事業の本格展開をスタート。2店舗目となる「西原宿パークストリート店」を皮切りに、6月中旬には同ビル7階に会員制ラウンジ「ヘヴンズビュー」、8月1日には広尾に同業態の「BLUE POINT 広尾店」を出店した。今後2年間で、西麻布や千駄ヶ谷、目黒などの都内各所に約10店舗の出店を計画している。業態は、立ち飲みスタイルを取り入れた店舗やピッツァ専門店など様々。

これらの店舗プロデュースを手掛けるのは、スーパーバイザー・鈴木光広さんである。“ブルーノ”の愛称で親しまれる鈴木さんは「Fish Bank」や、「XEX」など、これまでに約30もの飲食店のオープニングに携わってきた店舗プロデュースのスペシャリスト。その実績を買われ、07年2月ブルーポイントに引き抜かれたのだそうだ。コックとしての経験もある鈴木さんは、「料理と経営、両側の立場から店舗プロデュースできるのが強み」と語る。

「ブルーポイントの既存店のイメージを変えるような、新たなチャレンジをしたかったんです。同店で提案したいのは、月に1回行く特別なレストランより、月に4回通える“ふだん使いのレストラン”。周辺に松濤など高級住宅街がある土地柄ではありますが、あえてカジュアルなピッツェリアの形態を選びました。憩いの場として、地域の人々が自然と集う店になればと思います」(鈴木さん)。

店内はレンガの温もりを生かした内装に、アンティークの照明やオリジナルのバリ製の椅子が品良く並ぶ、落ち着いた空間。開け放った窓に溢れる代々木公園の緑を満喫しながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる。

コンセプトは「時差のないイタリア」。料理はトスカーナでの経験もあるシェフが現地のままのレシピを再現している。素材には契約農家の無農薬野菜や、イタリアから直輸入したチーズなどを使用し、窯で焼き上げるピッツァ1,400円〜2,000円、手打ちの生麺を使ったパスタ1,000円〜2,200円をはじめ、そのつど手に入った素材に合わせてメニューを提供。カジュアルなスタイルではあるが“外食の非日常性”を重視し、家庭では作ることができない料理にこだわった。

約45坪の店内には60席を配し、ペット同伴OKのテラス席も20席を用意。さらに約20人が収容できる個室もある。客層は、平日のランチタイムは8割が女性、ディナータイムはファミリーや年配の夫婦やカップルで、年齢層は20代前半〜50代ぐらいまでと幅広い。土日は代々木公園を訪れた子ども連れや、犬の散歩途中に立ち寄る方も多いそうだ。平均客単価は、昼が1,000円程度、夜は4,500円前後と比較的手ごろ。

「緑が好きなオーナーがこの立地を気に入ったのが出店の決め手でした。こんなに多くの緑を眺めながら食事ができる環境のレストランは、あまりないですよね。日中はかなり車通りがありますが、夜は案外静かになるという一面もあるんですよ」(鈴木さん)。

実は、同店を擁する7階建てのビルは、不動産業や貸ビル業を営む親会社、(株)バルビゾンが06年秋に買い取った物件である。この、(株)バルビゾンの代表取締役である伊藤良三氏は、アパレルブランド「コムサ・デ・モード」の創業メンバーとして活躍した人物。ファッションで文化をつくった経験を持つ伊藤氏の、「今度は飲食業で土地文化を作っていきたい」という思いにより、自社ビルでの飲食事業を本格化することになったのだという。また、自社ビルを飲食店として積極的に稼働させることでエリアを活性化し、延いては土地のステイタス又は価値の上昇に繋げるという相乗効果にも期待している。

同店が提案する「西原宿」という新しい呼称について鈴木さんは、「実際に浸透するまでには時間がかかるでしょうが、これからこの地域に出店される方などに影響を与えるひとつのキッカケになればいいですね。同店が街の文化の発信源となって地域を活性化できればと思います」と語る。

今回同社が出店した場所は、渋谷・原宿方面〜新宿方面への車や自転車の往来が多く、週末には代々木公園への来客で賑わうエリアではあるが、ランドマーク的なショップがなかったため“ただの通り道”という印象が強い場所。同社の出店が起爆剤になり、かつての白金の「プラチナストリート」のように、新たなエリア育成に繋がるかどうか、今後の展開に注目したい。

ちなみに、同ビル7階にオープンした会員制ラウンジ「ヘヴンズビュー」は、1階とは対照的にラグジュアリーな“大人の遊び場”を意識した造りになっている。270度のパノラマビューとソファシート、個室のテラスにはジャグジーを設置しており、連日、会社経営者やモデルなどの“セレブ”で賑わうのだそうだ。


[取材・文/笠原桐子+『WEBアクロス』編集室]

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