食卓に美味しそうに調理された昆虫が並ぶーーそんな日を想像することができるだろうか?イナゴの佃煮など、あまり抵抗なく口に入れることができる人もいれば、姿を見るだけで身の毛がよだつ、という人も少なくないのではないだろうか。
近年増えているのが昆虫食の魅力をカジュアルに発信する若い世代だ。大学生による食品としての昆虫の研究、昆虫料理を紹介するユーチューバーやタレントなど、メディアで目にすることも少なくない。また、昼に提供する「コオロギラーメン」が話題の昆虫食レストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」が2020年6月に日本橋にオープン、無印良品から「コオロギせんべい」の発売がスタートしたりと、昆虫食は日本の食シーンに新たなムーブメントを起こしつつある。
2020年4月、農林水産省は将来的なタンパク質の安定供給と多様化に向けた議論の場として、「フードテック研究会」を発足した。更に10月2日には「フードテック官民協議会」を設立、第一回の協議会が行われた。その中でも注目を集め、多くの研究機関やベンチャー企業が参加し安全基準の設定や市場流通など、食品としての普及を進める動きが見られているのが「昆虫食」だ。
EFSA(欧州食品安全機関)では2015年11月に「Novel Food(新規食品)」として昆虫食の基準が定められ、2018年より本格的に食品としての流通がスタートしている。大きく遅れをとる形ではあるが、日本でも国が昆虫を貴重な食糧として受け入れる体制に入りつつある。
そんななか、2020年11月末に東京駅構内のイベントスペース「スクエア ゼロ」で「虫グルメフェスVol.0」が4日間に渡って開かれた。来年春に予定している大規模な昆虫食イベントに向けてのプレ開催として「Vol.0」と名付けられている。本企画の実行委員会である株式会社サニーサイドアップ執行役員の中山隆久さんは「ご来場いただいた方にはまずは「おいしいんだ」というところから昆虫食を知ってほしい」と冒頭の挨拶で話し、新たな食の選択肢として「insect cuisine(インセクト キュイジーヌ)」を掲げた。
イベントには、渋谷PARCOにも店舗を持ち、昆虫料理を提供している個性派酒場「鳥獣虫居酒屋 米とサーカス」をはじめ、昆虫食専門店の「昆虫食 TAKEO」、昆虫食材を扱う「はまる食品」、高崎経済大学発ベンチャー「FUTURENAUT(フューチャーノート)」のコラボショップ(東京農業大学ベンチャー「うつせみテクノ」&昆虫食活動家 かずきさん)、食用昆虫の養殖システムの開発などを行う「BugMo」といった5店舗が出店。昆虫食にハマっている人にはたまらない昆虫の素揚げ料理や、初心者でもチャレンジしやすいコオロギパウダーを使ったフードなどが提供された。
昆虫食は「サスティナブル」かつ「栄養価が高いスーパーフード」
「虫グルメフェスVol.0」の開催に先立って行われたプレス向け内覧会には、本イベントを監修する昆虫料理研究家の内山昭一さんが登壇。内山さんのユーチューブチャンネル『バグズキッチン』でもライブ配信された。20年以上昆虫を食べ続けているという内山さんが、「昆虫食の昨日・今日・明日」をテーマに、昆虫食の魅力や、今後見込まれる市場価値について語った。
かつて大正時代には55種類もの昆虫が食べられており、古くから日常食として親しまれていた日本。近年、主流となっているのはイナゴ、蚕、ハチの子、ざざむしの4種類と激減している。ヨーロッパでも一部の地域で虫を食する伝統はあるが、日常的に食べられているのはタイなどの東南アジアの国々が多いという。
現在、世界の食用昆虫市場は拡大しており、2019年7月末の時点で昆虫食を扱う企業は世界で270社に。その中でも北欧は特に積極的だという。 内山さんによれば、その理由のひとつは、サスティナブルな食材であること。2013年、国連食糧農業機関(FAO)が、食糧問題を解決する手段として昆虫食を推奨するレポート(「 Edible Insects: Future Prospects for Food and Feed Security」) を発表したことを転機に、メディアで取り上げられる機会が増えたのだそう。
昆虫食が推奨される背景には、温室効果ガスの排出量が少なく、飼育効率や場所に優れているという利点がある。
例えば、牛肉1キロを生産するためには約10キロの飼料が必要なのに対し、コオロギは約2キロの飼料で生産が可能。飼育するのに広大な土地は不要で、衣装ケースのような狭い場所と少量の水で飼育できるうえ、種類によっては1ヶ月半あれば育ってしまう。
反芻動物である牛のゲップには、メタンガスが多く含まれているが、コオロギの場合はそういった温室効果のあるものはほとんど出さずに育てることができる。また可食部も80%、ほとんどの部位を食べることができるのだ。
また、「昆虫食は、高タンパクで不飽和脂肪酸やミネラルも豊富。栄養価が非常に高いです」と内山さん。栄養満点のスーパーフードであることも、昆虫食の大きな魅力となっている。
現在、世界の食用昆虫市場は拡大しており、2019年7月末の時点で昆虫食を扱う企業は世界で270社に。その中でも北欧は特に積極的だという。 内山さんによれば、その理由のひとつは、サスティナブルな食材であること。2013年、国連食糧農業機関(FAO)が、食糧問題を解決する手段として昆虫食を推奨するレポート(「 Edible Insects: Future Prospects for Food and Feed Security」) を発表したことを転機に、メディアで取り上げられる機会が増えたのだそう。
昆虫食が推奨される背景には、温室効果ガスの排出量が少なく、飼育効率や場所に優れているという利点がある。
例えば、牛肉1キロを生産するためには約10キロの飼料が必要なのに対し、コオロギは約2キロの飼料で生産が可能。飼育するのに広大な土地は不要で、衣装ケースのような狭い場所と少量の水で飼育できるうえ、種類によっては1ヶ月半あれば育ってしまう。
反芻動物である牛のゲップには、メタンガスが多く含まれているが、コオロギの場合はそういった温室効果のあるものはほとんど出さずに育てることができる。また可食部も80%、ほとんどの部位を食べることができるのだ。
また、「昆虫食は、高タンパクで不飽和脂肪酸やミネラルも豊富。栄養価が非常に高いです」と内山さん。栄養満点のスーパーフードであることも、昆虫食の大きな魅力となっている。
ヒット予測に「コオロギフード」がランクイン。
専門家が語る昆虫食の今とこれから
ここ数年で、通信販売や昆虫食品事業をおこなうスタートアップ企業が誕生するなど、販路拡大が目立つと語る内山さん。コオロギの出汁パックなどの加工食品だけでなく、調理用の生物や冷凍食材など、まだまだ日本では少ないものの幅広い種類が手に入る。国内最大級の通販サイト「Bugs Farm(バグズファーム)」では、昆虫の種類だけでなく状態(パウダー、バー、調味料など)から商品を検索することができるようになっており、国内でのニーズが広がっていることが伺える。
例えば、米とサーカス高田馬場店で提供されている『昆虫6種食べ比べセット』の月間平均売上数は、2016年が79皿/月(1日2.6皿)だったのに対し、2019年は156皿/月(1日5.2皿)。順調に売上を伸ばしており、消費者の関心も高まっている。
「頼りになる“若き後継者”も増えています」と内山さん。開催するイベントでは親子連れも多く、自由研究で昆虫食を取り上げる小学生も多いのだそう。
さらに、『日経トレンディ』2020年12月号に掲載された「2021 ヒット予測100」では、「コオロギフード」が第5位にランクイン。今後、さらに大きなヒットが見込めそうだ。
「昆虫食は、来年・再来年とかなり盛り上がるんじゃないかと思っているので、ぜひ注目していただければと思います」。
そんな内山さんの今後の目標は、昆虫をネタとしてシャリにのせた“ムシ寿司”をニューヨークに出店することだそう。ムシ寿司の写真のスライドとともに、「昆虫食がより普及してほしいと思うとともに、それが現実味を帯びつつあるとも感じています」とコメントし、講演会を締めた。
例えば、米とサーカス高田馬場店で提供されている『昆虫6種食べ比べセット』の月間平均売上数は、2016年が79皿/月(1日2.6皿)だったのに対し、2019年は156皿/月(1日5.2皿)。順調に売上を伸ばしており、消費者の関心も高まっている。
「頼りになる“若き後継者”も増えています」と内山さん。開催するイベントでは親子連れも多く、自由研究で昆虫食を取り上げる小学生も多いのだそう。
さらに、『日経トレンディ』2020年12月号に掲載された「2021 ヒット予測100」では、「コオロギフード」が第5位にランクイン。今後、さらに大きなヒットが見込めそうだ。
「昆虫食は、来年・再来年とかなり盛り上がるんじゃないかと思っているので、ぜひ注目していただければと思います」。
そんな内山さんの今後の目標は、昆虫をネタとしてシャリにのせた“ムシ寿司”をニューヨークに出店することだそう。ムシ寿司の写真のスライドとともに、「昆虫食がより普及してほしいと思うとともに、それが現実味を帯びつつあるとも感じています」とコメントし、講演会を締めた。
食品ロスを食べて育ったコオロギ。環境に配慮した「おいしい昆虫」に注目
炒め物、スイーツ、ドリンクなど様々な調理方法でアレンジされた昆虫食。「虫グルメフェス」のブースにはおいしそうな香りが漂っていた。改めて昆虫食の楽しみ方について、内山さんに伺った。
「昆虫食に抵抗がある方は、粉末やエキスとして形がわからなくなったものから入って、そこで昆虫のおいしさを知ってもらうのがいいのではないでしょうか。一方で、『珍しいものを食べてみたい!』と好奇心を持てる方は、素揚げなど形のあるものから楽しんでもらえればと思います」。
まずは「昆虫のおいしさ」を知ってもらうこと。意外なことに、内山さんは幼少の頃「虫はおいしくない」というマイナスのイメージを持っていたのだそう。近所に製糸工場があり、そこで残ったさなぎを自宅で調理して食べることが習慣としてあったが、酸化して匂いや癖の強い蚕は子どもにとって決しておいしいものではなかった。しかし1998年に多摩動物公園で開催されたイベントで、世界中の人がおいしそうに昆虫を食べている姿に触発され、翌年の秋に河原で捕まえたトノサマバッタ(「今思えば、秋で一番トノサマバッタがおいしい時期だった」と内山さん)を素揚げして食べた時に、そのおいしさに驚いたのだそう。昆虫にはおいしい食べ方や種類があるのだという出会いの瞬間だったという。
今では月に数回のイベントに向けた試食などを含め、週に1回は昆虫を食べているという内山さん。まだまだ食材としては高価なため頻繁に食べることは難しいが、食べ始めてから風邪をひくことがすっかりなくなったのだそう。
「昆虫食に抵抗がある方は、粉末やエキスとして形がわからなくなったものから入って、そこで昆虫のおいしさを知ってもらうのがいいのではないでしょうか。一方で、『珍しいものを食べてみたい!』と好奇心を持てる方は、素揚げなど形のあるものから楽しんでもらえればと思います」。
まずは「昆虫のおいしさ」を知ってもらうこと。意外なことに、内山さんは幼少の頃「虫はおいしくない」というマイナスのイメージを持っていたのだそう。近所に製糸工場があり、そこで残ったさなぎを自宅で調理して食べることが習慣としてあったが、酸化して匂いや癖の強い蚕は子どもにとって決しておいしいものではなかった。しかし1998年に多摩動物公園で開催されたイベントで、世界中の人がおいしそうに昆虫を食べている姿に触発され、翌年の秋に河原で捕まえたトノサマバッタ(「今思えば、秋で一番トノサマバッタがおいしい時期だった」と内山さん)を素揚げして食べた時に、そのおいしさに驚いたのだそう。昆虫にはおいしい食べ方や種類があるのだという出会いの瞬間だったという。
今では月に数回のイベントに向けた試食などを含め、週に1回は昆虫を食べているという内山さん。まだまだ食材としては高価なため頻繁に食べることは難しいが、食べ始めてから風邪をひくことがすっかりなくなったのだそう。
おいしさ以外の入り口として、環境への配慮など社会活動的な観点から昆虫食を知ることも、楽しみ方のひとつと言える。
東京農業大学の学生ベンチャー「うつせみテクノ」では、食品ロスを減らす取り組みとして、残飯を飼料に食用コオロギを育てている。昆虫食は増加する需要に対して供給が足りておらず、海外からの輸入がほとんどという状態。そこで自分たちで飼育し、残飯を飼料にすることで循環させながら生産するというシステムを作り上げている。
現在はコオロギを中心に研究しているが、いずれはその他の雑食性の虫(ミルワームなど)の飼育も検討しているのだそう。
東京農業大学の学生ベンチャー「うつせみテクノ」では、食品ロスを減らす取り組みとして、残飯を飼料に食用コオロギを育てている。昆虫食は増加する需要に対して供給が足りておらず、海外からの輸入がほとんどという状態。そこで自分たちで飼育し、残飯を飼料にすることで循環させながら生産するというシステムを作り上げている。
現在はコオロギを中心に研究しているが、いずれはその他の雑食性の虫(ミルワームなど)の飼育も検討しているのだそう。
怖いもの見たさでチャレンジ…!?初心者から上級者まで楽しめる昆虫フード
先ほどの内山さんのアドバイスによれば、昆虫食に抵抗がある人は、昆虫の形がわからなくなった加工品から入るのが正解とのこと。
そこで初心者におすすめなのは、昆虫食の販売や製造などをおこなうTAKEO(東京都台東区)の「タガメサイダー」や「パスタスナック」。昆虫の形がわからなくなっているので、見た目を気にせず、純粋に「味」だけを楽しむことができる。
そこで初心者におすすめなのは、昆虫食の販売や製造などをおこなうTAKEO(東京都台東区)の「タガメサイダー」や「パスタスナック」。昆虫の形がわからなくなっているので、見た目を気にせず、純粋に「味」だけを楽しむことができる。
タガメエキスを0.3%配合した「タガメサイダー」は、オスのタガメが放つ洋梨のようなフルーティーな香りが好評。「パスタスナック」は、コオロギのうま味(グルタミン酸を含む豊富なアミノ酸)と昆布のうま味(グルタミン酸)のダブルうま味成分で、日本人が親しみを感じる味に仕上げているそうだ。
そのほか昆虫食の開発、販売、輸入や、食育コンテンツの開発、販売を手がける FUTURENAUT も、昆虫食初心者にぴったりな商品を展開している。
それが「コオロギパウダー」を使ったフードだ。
それが「コオロギパウダー」を使ったフードだ。
このコオロギパウダー「クリケットパウダー」は、食用に養殖されたヨーロッパイエコオロギを粉末に加工したもの。豊富なたんぱく質に加え、必須脂肪酸、食物繊維、ミネラル、ビタミンと、様々な栄養素がバランスよく含まれていて、プロテインとして摂るのに最適だ。
エビのような風味に穀物系のコクも感じる不思議な味で、料理やお菓子にさっとかけたり、隠し味として使えるのが魅力となっている。
エビのような風味に穀物系のコクも感じる不思議な味で、料理やお菓子にさっとかけたり、隠し味として使えるのが魅力となっている。
もう少し昆虫の食感を楽しみたい人向けなのが、「鳥獣虫居酒屋 米とサーカス」の「3種のハンバーグ食べ比べセット」。鹿肉や牛豚合挽肉にコオロギを混ぜ込んだ、3種類のハンバーグを楽しめる。見た目はハンバーグなので、あまり抵抗感なく、コオロギの香ばしい風味を味わうことができた。渋谷PARCO店ではハンバーガーとして提供されている。
スズメバチがトッピングされた「スズメバチレモンサワー」も、米とサーカスの実店舗で購入可能。スズメバチは国産で、駆除業者から、薬を使わず回収したものを買い取っている。巣ごと受け取り、店舗のスタッフでハチを取り出す作業からやるのだという。
去年OPENした渋谷PARCO店では、様々な昆虫の味を知ることができる「昆虫6種食べ比べセット」のほか、パフェなどスイーツも好評で、リピーターの方も多い。抵抗の少ないハンバーガーなどが人気なのかと思いきや、姿のはっきりしたものを求めるお客の方が多いのだそう。
スズメバチがトッピングされた「スズメバチレモンサワー」も、米とサーカスの実店舗で購入可能。スズメバチは国産で、駆除業者から、薬を使わず回収したものを買い取っている。巣ごと受け取り、店舗のスタッフでハチを取り出す作業からやるのだという。
去年OPENした渋谷PARCO店では、様々な昆虫の味を知ることができる「昆虫6種食べ比べセット」のほか、パフェなどスイーツも好評で、リピーターの方も多い。抵抗の少ないハンバーガーなどが人気なのかと思いきや、姿のはっきりしたものを求めるお客の方が多いのだそう。
さらに、人間用昆虫食材の専門店「はまる食品」(長崎県佐世保市)では、昆虫の旨味や食感を存分に味わえるフードを販売。上級者向けではあるものの、見た目さえ克服できれば、スナック感覚で食べられる。
「はまる食品」は、日本では珍しく生の冷凍昆虫食材を取り扱っており、ネットでの注文も可能。昆虫食を愛する人にとっては、好みの料理に合わせた食材として使えるのが魅力なのだそう。
「はまる食品」は、日本では珍しく生の冷凍昆虫食材を取り扱っており、ネットでの注文も可能。昆虫食を愛する人にとっては、好みの料理に合わせた食材として使えるのが魅力なのだそう。
野菜、魚、肉、昆虫。新しい食品として食卓に並ぶ日は近い?
ちなみに、昆虫食を食べる際には、アレルギーに注意したい。まだ食べられている母数が少ないため明確にされてはいないが、特にエビやカニなど甲殻類アレルギーのある人は気をつける必要がある。それ以外は、肉や魚と同じく生で食べるのはリスクが高いが、加熱してしまえばだいたいの昆虫を食べることができるのだそう。安全基準の設定が進むとともに、加工や調理方法の可能性もこれからますます広がり、自分好みの昆虫料理に出会うことができるかもしれない。
おいしくて栄養があって、環境問題の視点からも注目の昆虫。ただのゲテモノ食材としてではなく、世界的に注目されている理由を正しく知ることで、一歩踏み出すことができるのではないだろうか。
「2013年に国連からレポートが発表された時は、我々の昆虫食というのはまだ幼虫だった。それがいま、成長し羽化しつつある。来年までに羽を乾かしてうまく飛び立てるようなスケジュールを思い浮かべています」と情熱を持って話していた内山さん。人口が98億人にまで増加すると言われる2050年に向けて、昆虫食が重要な選択肢のひとつになることは間違いなさそうだ。
【取材/文:市川茜+『ACROSS』編集部】
おいしくて栄養があって、環境問題の視点からも注目の昆虫。ただのゲテモノ食材としてではなく、世界的に注目されている理由を正しく知ることで、一歩踏み出すことができるのではないだろうか。
「2013年に国連からレポートが発表された時は、我々の昆虫食というのはまだ幼虫だった。それがいま、成長し羽化しつつある。来年までに羽を乾かしてうまく飛び立てるようなスケジュールを思い浮かべています」と情熱を持って話していた内山さん。人口が98億人にまで増加すると言われる2050年に向けて、昆虫食が重要な選択肢のひとつになることは間違いなさそうだ。
【取材/文:市川茜+『ACROSS』編集部】