BeautiK(ビューティック)
レポート
2012.02.01
ファッション|FASHION

BeautiK(ビューティック)

ワンコイン(500円)でエアブラシのメイク&ネイルサービスが
受けられるビューティーブティック

ファッションビルにおける物販・飲食以外の新しいサービスとしても注目!

広さは小スペースながらも、蛍光色を使ったイラストが壁に入るなどフロア内でも目を惹いていた。
73色と豊富な色展開で発色の良いウスルエアラインズのネイルポリッシュは、ワンコインのネイルサービスで利用できる。
お客様の要望で生まれたチョコレートが溶けたようなデザインのネイル。指ごとに違う色を使用しても一工程500円(税抜)。
エアブラシのメイクは、ファンデーション、チーク、アイシャドウに使用できて、長時間つけていても落ちにくいことが特徴。
モロッコのアルガンオイル les sens de marrakech(レ・センス デ マラケッシュ)。
 エアブラシを使ったメイクサービスや、ネイルサービスがワンコイン(500円)で受けられる「BeautiK(ビューティック)」が、2011年8月ラフォーレ原宿の1.5Fにオープンし話題を呼んでいる。オーナーは、MISIA(ミーシャ)などのミュージシャンのメイクアップ、広告や雑誌、海外のショーなどで活躍する人気メイクアップアーティストKaori(カオリ)さん(36)だ。
 
 同店では物販も行っており、パリのセレクトショップ「Colette(コレット)」で人気の「uslu airlines(ウスルエアラインズ)」のメイクアップアイテムやネイルポリッシュを中心に、日本初上陸のモロッコのボディケアブランド「Les sens de Marrakech(レ センス デ マラケッシュ)」のボディオイル、パトリシア・フィールド氏の店でしか取り扱っていないヘッドピースアクセサリー等、Kaoriさんがセレクトしたアイテムが揃う。広さは2.98坪。
 
 もともとファッションが好きで、洋服を通じてメイクアップにも興味を持つようになったKaori さん。「世界のメイクアップを見たい」との思いから、1996年、21歳の時に渡米。ニューヨークで夜間の美容学校に通いながら、昼はコスメブランド「ADDICTION(アディクション)」のクリエイティブディレクター・AYAKO氏をはじめ、世界的に有名なメイクアップアーティストたちのアシスタントを務めた。その中の1人、ドイツ人のメイクアップアーティスト、フェリデ・ウスル氏との出会いがきっかけで、エアブラシでのメイク技術を身につけるようになった。
 
 エアブラシは、もともと車の塗装や絵画のツールとして利用されていたもので、80年代に、イラストレーター・山口はるみ氏が弊社の広告にエアブラシを用いた表現が話題となり、その後、特殊メイクにも用いられるようになった。肌の表面にファンデーションやアイシャドウを吹き付けるエアブラシのメイクは、発色が良く、均等に肌に乗り、崩れにくいという特徴がある。現在アメリカでは、ハリウッド女優や政治家、ニュースキャスターなどにも愛用者が多いそうだ。
 
 とはいえKaoriさんが帰国した2004年頃の日本では、エアブラシはまだ特殊メイクという印象が強く、最初はなかなか相手にされなかったという。しかしSK-IIがエアブラシの技術を取り入れたエアータイプのファンデーションを発売した2006年頃から、徐々に認知度がアップ。雑誌などのメディアにも取り上げられるようなり、ここ2〜3年でようやく知名度も上がってきたという。
 
 Kaoriさんもフリーのメイクアップアーティストとして、「AVGVST(オーガスト)」に所属しながら、エアブラシおよび「ウスルエアラインズ」の普及活動にも尽力した。
 
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什器と一体化した店頭に立つユニークなマネキン。
NYのスタイリスト パトリシアフィールドのお店TRIVIAL NY(トリヴィアル)で取り扱われているヘッドピース。
NYのグローブ専門店のLa Crasia(ラクラシア)の商品も取り扱う。パーティシーンでもネイルが際立つようにシースルーや網素材のデザイン。
BeautiKのオーナーでメイクアップアーティストのKaoriさん。過去には「黒猫チェルシー」や「毛皮のマリーズ」などミュージシャンのメイクを担当したこともあるそう。
  その後、エントランスで期間限定ショップを出店していたブランドデザイナーの友人の紹介で、2009年と2010年に、同施設にて期間限定ショップをオープン。2009年の初出店の際には、「ウスルエアラインズ」を扱う日本初のショップということで業界人から高い注目を集めた。メニューは、500円のワンコインメイク。メイク直し、ポイントメイクからフルメイクまでたった500円でメイクサービスが受けられるとあって大好評。期間中は行列ができるほどお客さんが殺到したそうだ。
 
「翌年も、ポップアップショップでやろうと思っていました。店を持つのは、まだまだ先の目標として、5年後くらいかな、と考えていたので」
 
 しかし、そんなKaoriさんが今回常設店舗を出店する決心を後押ししたのが、3月11日に起こった、東日本大震災だった。
 
「震災後、私の周りでも、ファッションに意味を感じなくなって福祉の道に転身したり、センシティブになってしまって東京を離れた人や、田舎で農業を始める人など…。さまざまな行動を起こす人たちがいたなかで、それならば私は、『やりたいことを思い切りやっておきたい。今までやってきたことを、もっと追求しよう』と思ったんです」(Kaoriさん)。
 
イメージは、“銭湯の脱衣所”。鏡の前に女性がずらっと並んで、メイクをしたりネイルをしたりしながら、鏡越しに会話をする。そういう、“たまり場”のようなスペースにしたかったんです」とKaoriさんは話す。
 
 店内は白を基調に、テーマカラーの蛍光ピンクとターコイズブルーを使用。壁には、親友に描いてもらったというインパクトのあるイラストが彩りを添える。マネキンを什器にした内装もユニークで、これまでKaoriさんが脳内であたためてきた世界観を、立体に再現した形となった。
 
 同店では「ウスルエアラインズ」の世界最小・最軽量で、化粧ポーチにも入れられるサイズのものも販売しており、デザインもかわいく、カラー展開もナチュラルなブラウンやボルドーなど、一般受けしやすい仕様だ。価格は本体とカラー5色がセットで13万5,000円(税抜)。カラーは自分の肌色に合ったファンデーション2色、チーク1色、アイシャドウ1色、アイシャドウ兼ハイライト1色が選べる。
 
 エアブラシによるメイクやネイルのサービスは予約不要で、一工程500円(税抜)という手軽で明確な値段設定。たとえばメイクではパーツごとにアイシャドウであれば1色でも10色でも500円、ネイルは指ごとに色を変えても値段は変わらず500円で、そこにラインストーンやラメをプラスするなど、行程が増えるごとに500円ずつ加算されていくシステムとなっている。
 
 オープンして約半年。お店を訪れるのは、スタイリストやアーティストをはじめ、ファッションに敏感な女性だけでなく、ラフォーレ原宿を訪れる高校生や大学生など、一般の若い世代も混じっている。中にはジム帰りのメイク直しに利用する近隣のマダムや、ネイルを楽しむ母娘、毎週ネイルに通う若い男性客、ライブ前にメイクをしにくるバンドマンなどもおり、その客層は幅広い。他にも、パーティやダンス発表会のメイクアップや、合コン前にメイク直しに訪れるOL、エアブラシを体験してみたいという初心者まで、需要も広がっているようだ。
 
 「最終的な目的は、一般の方にも自分でエアブラシも使えるようになってもらうこと。」(Kaoriさん)
 
 店内では、メイク中に客同士が友達になって一緒にパーティに出かけたり、Kaoriさんやスタッフに悩み相談をしたり。なかには、Twitterのアイコン上で間接的に知り合いだった同士が、店で偶然出会う、というシーンもあったという。ある意味、カオスな空間で、同じ価値観を持つ同士が集まるリアルなコミュニケーションスペースとして、Kaoriさんの構想する“たまり場”になりつつあるようだ。
 
[取材・文/皆川夕美(フリーライター)+『ACROSS』編集]
 
【記事のポイント】
●エアブラシを使った新しいメイクアップを提供するショールーム。

●ワンコインで”脱日常”のパーティメイクを提案する新しいビジネスの誕生。

●ファッションビルにおける物販・飲食以外の新しいサービスとしても注目。
BeautiK(ビューティック)

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿1.5F
TEL: 03-6804-3328
営業時間:11:00〜20:00


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