支那そば MIRAC shibuya

支那そば MIRAC shibuya

レポート
2003.12.05
フード|FOOD

場所は、宇田川町の「上海ヌード
ル」(03年9月閉店)跡地。
どことなく「麺屋空海」を思わせ
る店構え。
「特製とろタンそば」のタンの
厚さは推定3cm(!)長時間
煮込んであるので、とろける
ようにやわらかい。
明るく開放感のある店内は、
約40坪、席数35。もともと
あった吹抜けや大きな窓を
そのまま活用している。
2Fはグループ企業が運営
する「MARIS Nail Salon」。
両店共通の割引券を配付
するなど連携したサービス
を展開していく予定。
ラーメン店の激戦区のひとつ、渋谷。ここ1年だけでも、道玄坂には390円らーめんの「幸楽苑」や「なんでんかんでん」の流れをくむ「博多市場」、センター街には「らーめん伝丸」、「天下一品」、渋谷警察署裏手には「すずらん」など、味もスタイルもバラバラなラーメン店のオープンが続いている。

そこに11月1日、「業界激震!ラーメン業界に、ついにフレンチの三ツ星シェフが殴り込みをかけてきた!」と銘打って新規参入したのが、「支那そば MIRAC(ミラク) shibuya」である。

運営元の(有)マリスグローバル代表取締役兼店長の大澤功さんは、なんと元フレンチのシェフ。「オテル・ド・ミクニ」で三國清三氏に師事後、フランスの三ツ星レストラン「トロワグロ」、スイスの二ツ星レストラン「ホテル・ローザルブ」、市ヶ谷の「リヨン」など、国内外の著名なフレンチレストランでの勤務経験を持つ人物である。

「もともとラーメンが好きで、よく食べ歩きをしていました。昨年の春ごろでしょうか。休日にふらっと入った『麺屋空海』で食べたスープの味に魅せられたんです。実は店長の水野さんはパティシエ出身。同じ業界同士、すっかり意気投合しました」(大澤さん)。

「麺屋空海」は、オーブンでローストしたゲンコツと鶏ガラを、じっくり煮込んだ「ゲンコツローストスープ」で知られる人気ラーメン店である。02年2月、渋谷・参宮橋に1号店を出店した後、中野、六本木、聖蹟桜ヶ丘に次々と出店。シックな内装や、杏仁豆腐、支那豆腐といったデザートメニューを設けるなど、女性客を意識したサービスも特徴だ。

水野さんの影響を受け、大澤さんはラーメン店店主への転身を決意。修行を兼ねて、「麺屋空海」の運営元(株)マリスの経営に参加することに。主に、ゲンコツローストスープのクオリティをさらに高めるため、骨の焼き方やスープの取り方など技術面の指導にあたっていたのだそうだ。

「実は水野社長は飲食店経営の経験が豊富。それを活かして独自で“素人でも運営できるシステム”を開発したんです。人件費や食材などを数値化して管理するものなんですが、詳細は秘密。飲食店の経営は、単に味や素材にこだわる職人気質だけではビジネスとして成立しない厳しい現実があるんです」(大澤さん)。

そして今年9月、大澤さんが手がけるラーメン店の1号店の出店が決定。(株)マリスと同じマリスグループの1企業として(有)マリスグローバルを立ち上げた。

「運営システムやメニュー、内装など、ほとんどは『麺屋空海』と同じ。ただし、味は、チャーシューの代わりにタンを使用したり、よりコクの感じられるこってり味のスープに仕上げたりと、フレンチらしさを強調しました。今後は、フォンダンショコラやブリュレといったデザートメニューを増やしてドリンクとセットにするなど、カフェとしての機能も備えた店にしたいですね」と大澤さん。

メニューの目玉は、「特製とろタンそば」。チャーシューの代わりに、大澤さんが完成させた「ゲンコツローストスープ」で10時間ほどかけて煮込んだ厚さ3cmの牛タンがトッピングされているのが特徴だ。オープン直後にも関わらず、1日平均30〜40食ほど出る人気メニューとなっている。

オシャレな内装やBGM、デザートメニューなど、女性客を意識した店づくりは、今やラーメン業界の常識でもある。そこに、イタリアン、フレンチといった、ジャンルの異なる飲食業界からの転身組が加わり、「味」の細分化にも拍車がかかっているようだ。

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