オーナーの渡邉博一さん(40)。
「レッグウェア業界はまだまだ未開拓。コラボ商品なども積極的に展開し、まだ世の中にない商品を作っていきたい」
様々な要素がミックスされた店内のディスプレイも楽しい。
チェックやドット、しずく柄、幾何学模様まで、幅広い品揃え。
ハンドメイドで作られるLANIE(ラニー)のアクセサリー。
コンセプトは「Head to toe」。レッグウェアをメインに、頭から足先までのアイテムを取り扱っている。
壁には女王蜂、AKB48、きゃりーぱみゅぱみゅのサインが。
直営店の出店は、“海外で認知されているファッションの街”原宿〜渋谷エリアで探した。渡辺さんが実際に街を歩いてリサーチしたそうだが、最終的な決め手は「直感」(!)ドアを開けた時に、内装などのイメージが自然と見えたという。
約22坪の店内は、店名のとおりアバンギャルドな空間を心がけたという。白馬に乗ったモードなマネキンが飾られていたり、ペイントアーティストのchocomoo(チョコムー)さんのイラストが白い壁いっぱいに描かれていたり、さらにカウンター部分はアンティーク調の布で覆われたりと、店内をぐるりと一周するとさまざまなテイストに触れられる点がおもしろい。
オリジナルと輸入品の比率は5:5。インポートではアメリカの「Music Legs(ミュージックレッグス)」、イギリスの「PAMELA MANN(パメラマン)」などを扱う。レッグウェアの価格帯は1,900〜3,500円。
また、レッグウェアは通常、袋に入って折りたたまれた状態で販売されているが、同店ではすべての商品サンプルがハンガーに掛けられているので、手に取ったり、着用したときの柄や色を確認することが可能だ。さらに試着をした上で買うことができるのも大きな特徴である。
テーマは「HEAD to TOE(頭からつま先まで)」。北欧の毛糸などで制作されたアクセサリー「mormor(モルモル)」など、若手作家の作品を委託販売しているのも特徴だ。リメイク洋服やアクセサリー、ヘッドアクセサリー、靴などがそろう。
ターゲットは30代以上の女性。ファッション志向の変化を何回も繰り返し、自分のスタイルを確立した大人の女性から支持されたいと考えているそうだ。実際の来客層は「25歳前後のファッションを楽しんでいる女性」(渡辺さん)が多く、外国人客も全体の2割を占める。芸能人や読者モデルのファンも多く、入り口へと続く階段の壁面には、きゃりーぱみゅぱみゅなどのサインが書かれている。
「原宿という街は、人の多さもショップもすべてが特殊。非日常でいい意味で“狂っている”。MAMのレッグウェアを地元で履くと町の人たちが振り返る、とおっしゃるお客様も少なくありませんが、それは嬉しいご意見ですね。海外の人から見ても原宿はすごい!と思ってもらいたいですし、実際に、商品やショップに興味を示して頂けるのがうれしいです」(渡辺さん)
2005年以降、ずっと流行っているミニ丈ボトムスの浸透に伴い、カラータイツやレギンス、トレンカなどのレッグウェアを着用する女性が増加。だが、大手レッグウェアメーカー×女性モデルのコラボレーション・プロデュース商品は増えていても、フェミニンさや定番カラーから逸脱することはなく、大胆さや奇抜さを求める人のニーズは満たされていなかったと言えるだろう。そこに風穴を開けた同店のオリジナルアイテムが支持されるのも当然といえそうだ。
現在、コスプレ感覚で複数の小物を「ちょい足し」する、ファッションに敏感なアラウンド90年うまれの若者たちに支持されている同店だが、今後、こういった「アバンギャルド」なデザインのタイツがさらに幅広い世代、ファッショントライブへと拡大していくと思われる。
同店では今後も、タカラトミーの「リカちゃん」、ファッションブランド「X-girl(エックスガール)」などとのコラボレーションを企画しているそうだ。
取材・文 緒方麻希子(フリーライター)