陶器やバッグ、雑貨など、さまざまなアーティストのハンドメイド商品が揃うセレクトショップ「BONDO(ボンド)」が2011年11月27日にオープンした。場所は、JR吉祥寺駅から三鷹方面へと歩いて約10分、中道通りから細い路地を入ったところ。
運営するのは株式会社BONDO HOUSE。オーナーの村上雄一さん(38歳)は、大学卒業後に大手自動車グループ系の広告代理店に入社。広告営業に携わった後、32歳のときに広告制作会社の営業・プロデューサーに転職した。しかし、もっと自分が好きなことで周りの人も幸せにできる仕事をしたいと考えるようになり独立。36歳だった2010年末に同社を設立し、翌2011年2月にネットショップ「HAND MADE ART STORE “BONDO”(ハンドメイドアートストア ボンド)」をスタートした。
「自分が好きでわくわくできることって何だろうと考えたら、服や雑貨、料理でも何でも、個人の思いが詰まったエネルギーのあるものに出会ったときだったんです。ですが、こだわったものをつくる作家さんは個人の方が多く、売る力や発信する力が強くはない。そこで、もともと人と人をつなぐことが得意だったこともあり、作家さんと作品を求めている人をつなぐようなプラットフォームをつくったらどうかと考えました。作家さんが集合体になることで発信力も出せるし、作品を求めている人にも届くと思ったんです」(株式会社BONDO HOUSE 代表取締役/村上雄一さん)。
「BONDO」の店名は、ハンドクラフトにも用いられる接着剤のボンドに由来。性別や世代を超えて人と人、さらには人とモノをつなぎたいという意味も含んでいる。
入居する3階建てのビルは、もともと税理士事務所だった築50年程の物件。同ビルは、2010年9月に「Arts and Crafts House(アーツアンドクラフツハウス)」(運営:アーツアンドクラフツ株式会社)として、その名のとおり「表現を楽しむ」をコンセプトにした文化発信拠点へと生まれ変わっており、彫金教室「DOVE Tokyo College of Jewelry」をはじめ、「ものつくりカフェFe+」、地元のデザイナーやブランドが集まる「吉祥寺デザイナーズビレッジ」などのアートやクラフト分野の店舗、工房などが集積しているビルだ。
もともと同ビルでは、空いている部屋やスペースを個人のクリエーターに活動の場として間貸ししており、村上さんがアーツアンドクラフツを主催する山田直広さんを知人に紹介されたことから、1階のスペースに出店することになった。
「手作りの温度がある商品を扱っているので、将来的には店舗をかまえて、お客さまに実際に商品を手に取って感じてもらいたいと考えていました。まさかこんな早いタイミングで出店するとは思ってなかったですが、これも出会いです」(村上さん)。
壁面のディスプレイに使用した木の棚は、リンゴ箱をリサイクルして作ったもの。リンゴが輸送されるときに使われる木箱を200箱譲ってもらえるという機会に恵まれ、村上さんと友人とで作り上げたそうだ。中央のテーブルにはステンレスの厨房機器を設置し、ぬくもりある空間を引き締めた。
広さは約15平米。ほのかにラベンダーのアロマ香が漂う店内には、壁から床までボンドが流れるように描かれた大胆なロゴが目を引く。「BONDO」 のロゴやウェブ等のデザインは、ラフォーレ原宿の広告などを手掛け、東京ADC賞、JAGDA新人賞など数々の賞を受賞して注目される博報堂のアートディレクター、長嶋りかこさんによるもの。また、BGMには音楽関係の友人が 「BONDO」 のために選曲したというオリジナルMIX(2ヵ月に一度更新)を使用するなど、空間全体でブランドを表現することにこだわったそうだ。
オープン時のレセプションには、オーガニック食堂&ケータリング「キッチンわたりがらす」を運営する村上さんの弟・秀貴さんが料理を振る舞った。ブログとフェイスブックでの告知だったが、人が人を呼び、なんと300人以上が集まる大盛況だったとか。