そこでこだわったのは、食材はできるだけ原料に近い状態で仕入れて、キッチンで加工処理をすること。森枝さんは、プランニングの段階で通常の4倍の広さのバックルーム(キッチンと冷蔵室)を確保した。これなら豚を一頭買いして捌き全て余さずに使い切ることができる(ちなみに豚は需要が高いロース部分を除いた一頭買い)。調味料やタレも多くが自家製だ。
例えば、この日のメニューのコーンスープ。ひと口飲むとコーンのやさしい甘みが口に広がり、手間暇かけて作られたことが分かるが、原料のトウモロコシは大雨に浸って売り物にならなくなってしまったものを大量に譲ってもらい、可食部のみ切り出して活用した。ボリュームたっぷりのポテトフライのじゃがいもは、採れすぎて値崩れしそうなものを大量に仕入れた。これらの取り組みは、大人数の食事を用意する社食だからこそできることだ。
「毎日やることが違うので、正直大変なことしかありません(笑)。でも食に関心のない人がある時『気にせず食べてきたものが、実はちゃんとした素材で、ちゃんと作られたものだった』と気づいて、少しずつ行動につながっていくのが理想ですね」(森枝さん)。