ストリータリーと歩道の席が加わったことで、飲食店の席の数はここ一年で大きく増えたことになる。ホスピタリティはこれまでと同様に、いやこれまで以上に、再開するニューヨーク経済の中心を担うことになるのだろうか。ユニオン・スクエア・カフェやシェイク・シャックの経営者として知られるダニー・メイヤーが、ニューヨーク市経済開発公社の会長に就いたのも気になるところだ。
それでも全ての飲食店が再開を謳歌しているわけではない。オフィスが多いミッドタウンのレストランは、通勤客が消えたため客足も消えたという。ロンドンでは昨年春に同じことが指摘されていた。ロンドン中心地のオフィスで働く人たちを相手にサンドウィッチ店を展開して急成長したプレタ・マンジェは、一夜にしてそのビジネス基盤を失い、「プレタ・エコノミー」の限界が指摘された。
その一方で、ブルックリンやクイーンズの居住地区にあるカフェやレストランは、自宅で働く人が増えたことによって客足が増えている。ブルックリンの五番街の両脇にはストリータリーが所狭しと並び、クイーンズのジャクソン・ハイツでは、オフィスに行かなくなった人のためにレストランが働く場所を提供してもいる。マンハッタンと違って、観光客が消えた影響を受けることもなかった。
再開に伴い、従業員をオフィスに戻す企業が出てきたが、オフィスと自宅の両方を使い分ける「ハイブリッド型」の働き方が今後も続くという見方は強い。それは従来のオフィス街から働く場所を分散しうる。そしてそれを追いかけるように、飲食店も従来のマンハッタンへの集中から分散化する可能性がある。
オフィス市場そのものに変化の兆しは見ることができる。オフィス需要が急減するなかで、ミッドタウンのオフィスをアパートに転換することを促す準備が進んでいる。既存のゾーニング法の範囲内で、運用ルールを変更することで対応する予定だ。パンデミック期はもちろん、再開に続くポスト・パンデミック期においても、青写真が意味を失う世の中で、迅速に様々な策を試すことが求められていると言えるのかもしれない。