2000年代前半はセレクトショップや古着屋で賑わっていた渋谷区神南エリア。その後、メンズショップやブランド古着店が建ち並ぶようになり、2011年秋頃からNEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)、HEADPORTER(ヘッドポーター)、Supreme(シュプリーム)など、「裏原系ブランド」が出店し、再び賑わってきた。そんな神南エリアに、2012年11月10日、メンズビンテージショップ「Sullen Tokyo(サレン トウキョウ)」がオープンした。オーナーは、中澤多希瑠(なかざわたける)さん、30歳。美容師から某有名古着店の店長を経て、今回の独立に至った。まずなぜ、「神南エリア」で「古着」だったのか。中澤さんにオープンの経緯を伺った。
「自営業の父親の影響もあり、子どもの頃から『将来は自分も独立しよう』と思っていました。最初に美容師を目指したのも、『いつかは自分の店を持ちたい』と考えていたからなんです」。
中澤さんは、美容専門学校進学のため上京、卒業後は「SHIMA」に入社した。その1年後には、客として通っていた某古着店のオーナーに声をかけられたことをきっかけにアルバイトとして入社し、ファッション業界へ転職することに。
「昔から、古着に限らずファッションには関心がありました。当時はCarol Christian POELL(キャロル・クリスチャン・ポエル)が好きで、モード系のモノトーンのコーディネートに古着で色味を足すというような、古着はアクセント的に取り入れることが多かったですね」。
入社後、半年で店長職に。古着に関する知識や海外買い付け、古着屋の店舗運営のノウハウは、当時のオーナーに教わり身につけた。古着に対する意識も徐々に変わっていったという。
「日本にない、見たことのない古いモノ、なおかつすべて1点モノという古着の魅力や、その背景をお客さんに伝えることが古着屋の醍醐味だと感じるようになりました」。
その後、独立を視野に入れ2011年に退職。たまたまデザイナーの弟と友人だったことがきっかけで、1年間、ジョン・ローレンス・サリバンのショップスタッフとして勤務。商品知識と接客の幅を広げた。
出店エリアは原宿も候補に考えていたが、「古着=若者」というイメージを払拭し、20代後半以降の大人にも受け入れられる品揃えを目指した結果、神南エリアに行きついたのだそうだ。
「前職の古着店(原宿のとんちゃん通り沿い)では、10代や20代前半の若いお客様が多かったのに対して、神南は客数の絶対数は少ないけれど、本当に気に入った店なら目がけて来店してくれるエリア。自分の店もそういう存在にしたいと思って」。