「”美女”を美術館の絵画のように、良好な状態で保管したい…」そんな斬新な発想から生まれた企画、それが『清川あさみの美女採集』だ。アーティスト・アートディレクターとして活躍する清川あさみさんが、女優やミュージシャンなどお気に入りの”美女”を”採集”し、その対象に合う動植物をテーマにビジュアル作品を創作するというもの。12月15日（土）には、これまでの連載を1冊にまとめた特別総集編「美女採集 Asami Kiyokawacatch the girl」（INFASパブリケーションズ）が発売となり、記念としてのエキシビションが07年12月21日（金）から08年1月7日（月）まで、渋谷パルコパート1のパルコファクトリーにて開催されている。

そもそも雑誌『relax』（マガジンハウス※現在休刊）誌上にて06年1月号よりスタートし、同年12月号より『流行通信』（INFASパブリケーションズ）にて連載され、多くの反響を呼んでいるこの企画。これまでに登場したのは、長澤まさみ、沢尻エリカ、堀北真希、相武紗季、石原さとみなど、まさに今をときめく注目の”美女”達。そんな彼女らにインスピレーションを受け、清川さん自身が衣装制作から撮影ディレクション、アートワークまでを手掛け、一つのビジュアルとして完成させる。

今回の企画に「美女」というテーマを選んだ理由を尋ねると、「仕事でキレイな人に会う機会が多くて、それを図鑑のようにまとめてみたいと思ったのがきっかけ」と語る清川さん。清川さんにとって”美女”の基準は、表面的な美しさよりも「輝いている人、そして強さを感じる人」だという。

「美しさは人によって異なりますが、特に人物の内面から溢れる魅力を見つけ、引き出したいと思いました。例えば沢尻エリカさんは、強くセクシーなイメージ。人を引きつける力を感じて、蜘蛛との組み合わせを思いついたんです。また、本人がコンプレックスやマイナス部分と思っているかもしれない、そんな部分こそが実は魅力的。例えば上野樹里さんは、撮影中に見せる”ちょっと困った顔”がとても魅力的だと感じたんです。だから、あえてその部分を表現したいと思いました」（清川さん）。

制作期間やプロセスは人それぞれだが、だいたい1週間程度で人物イメージを固めていくという。最初から作り込まず、イメージした布やパーツだけを持っていき、撮影現場で決めることもある。「”美女”の最も美しい部分を切り取るためにも、現場の空気感を大切にし、人物の内面から得られるインスピレーションを大切にしています」（清川さん）

また、今回のエキシビションでは、そのユニークな展示スタイルにも注目したい。ギャラリーに足を踏み入れると、撮影で使用された衣装が展示されるとともに、フラスコ、顕微鏡、試験管などのアイテムが並び、見る者を驚かせる。「今回の展示は、採集した”美女”を保管する研究室をイメージしました」という清川さんの言葉どおり、例えば水の入ったフラスコを覗くと、虫眼鏡のように拡大された作品が見られ、顕微鏡の中にはスライド上の写真が浮かび上がる。「ここでは”覗く”という少し男目線で（笑）、楽しんで頂きたいです」と彼女が語るように、まさに植物学者になった気分で”美女”を観察しながら、平面とは異なる作品の魅力が堪能できるようになっている。

さらに、運営業務を担当するパルコ宣伝局・江本多栄子さんに、今回のエキシビションの特徴や見どころを伺った。「清川さんの魅力は、糸や布、ビーズなど手作りの温かみを感じさせる素材を使って、繊細かつ華麗な独自の世界を創り上げるところ。『美女採集』は、美しさと才能を開花させて活躍している美女たちを揃え、彼女たちの普段とは違う新たな表情、魅力を引き出しているところが最大の見どころです。平面では分からない衣装の繊細さや美しさ。顕微鏡の中に閉じ込められた製作過程、美女たちのリラックスした表情−。また、ギャラリー正面のガラス面から覗き見ることができる、美女22名の写真もご覧ください」（江本さん）。

清川さんは、来年2月にアーティストとしての7年間の軌跡が詰まった作品集『caico』が出版される予定。さらに今後の活動にも注目したい。

［取材・文／渡辺満樹子（フリーライター）＋『WEBアクロス』編集室］

■『流行通信特別企画 清川あさみの美女採集展』

・会　場：PARCO FACTORY（パルコファクトリー）　渋谷パルコ　パート1 / 6階

・期　間：07年12月21日〜08年1月7日　※1月1日は休館

・開場時間：10:00 〜21:00（入場は閉場30分前まで）
※12月31日は、最終日は17：00にて終了いたします。

・入場料：一般300円・学生200円・小学生以下無料

・お問合せ：03-3477-5873（パルコファクトリー）